多様化する時代性に沿うように細分化されていく、現代のメンズウエア。だが細分化すればするほど、逆説的に「王道」「本物」ともいうべき“オーセンティック”の重要性が際立つというのもまた真理だ。時を越え、世代や性別も越えて評価されるトラッドとモダンヘリテージの融合から生まれる、コンテンポラリーな最旬“オーセンティック”ウエアを手に入れるなら、伊勢丹新宿店メンズ館7階をおいて他にない。
普遍的で本質的なスポーツウエアと、カジュアルウエアを集積した「オーセンティックカジュアル」のフロアとして親しまれた伊勢丹メンズの7階は、15周年を迎えるこの秋、「オーセンティックウエア」として大胆にリニューアル。国も、時代も、性別も、スタイルも、ボーダーレスにマッシュアップされる現代ファッションの要諦に合わせ、リアルヴィンテージから本格的なクロージングまで、オン&オフの垣根なく楽しめるという極めて今日的な構成となった。
そんな同フロアを担当するバイヤー柴田信友さんが今季強力にプッシュするのは、オーセンティックなアイテムの代表格である「紺ブレ(紺ジャケ)」だ。
サイズ感やコーディネート次第で、トラッドにもモードにも、さらにはストリート的にも着こなせるという「紺ブレ」。そのボーダーレスでオールマイティーな魅力を改めて実感させてくれるのは、アメリカントラッドの王道であるブルックスブラザーズであり、モダンヘリテージなエンジニアードガーメンツ、そして卓抜のセンスと妥協なきこだわりでオーセンティックを進化させるカンタータなど、いずれも正真正銘の「本物」ばかりだ。
そこで今回は、この「オーセンティックウエア」へと進化を遂げたフロアの見どころと、その裏側にある柴田バイヤーの“思い”にフォーカスしてみたい。
「歴史と伝統のある『オーセンティックカジュアル』売り場ではありましたが、2017年秋の先行リニューアルでブランドの世界観をより感じられるような再編集を行い、ファッション感度の高い若い世代のお客様に大変好評をいただきました。そこでこのフロアのコンセプトであるタイムレス&エイジレスというものを維持しつつも、より時代性を感じられる『オーセンティック』とは何かを検証。“いま本当に必要なものは何なのか? ”を徹底的に追求したんです。
正統派で本物のブランドは、世界的にもごくわずか。それらを軸に、イセタンメンズらしいツイストが加えられるヴィンテージやデザイナーズを厳選して追加することにしました。永遠のスタンダードである、ポロ ラルフ ローレンはプレッピー。それならその源流であるアイビーの総本山・ブルックス ブラザーズも絶対に必要です。そしてアメリカ人以上にアメリカントラッドを知り尽くす、日本のデザイナーやファクトリーが手がける逸品も……。
ブランド数自体は決して多くありません。しかし『洋服を着る』ということを、正しく理解しているブランドのプロダクトだけを取りそろえている。これこそが、モダンな『オーセンティック』に欠かせない要素なんです。結果として、誰でも知っているブランドの、誰も知らないモノがある。そんな驚きに溢れたフロアができあがったと思っています。7階という上層階にわざわざ足を運んでいただくためには、他にはない尖った提案が必要ですからブランド数自体は決して多くありません。しかし『洋服を着る』ということを、正しく理解しているブランドのプロダクトだけを取りそろえている。これこそが、モダンな『オーセンティック』に欠かせない要素なんです。結果として、誰でも知っているブランドの、誰も知らないモノがある。そんな驚きに溢れたフロアができあがったと思っています。7階という上層階にわざわざ足を運んでいただくためには、他にはない尖った提案が必要ですから」(柴田バイヤー)
実際、伊勢丹メンズ7階のポロ ラルフ ローレンでは、全世界でわずか32点という超限定の“アップサイクル”なコレクションを独占販売。また来春には「誰でも知っている」あのリーバイスの、「誰も知らないモノ」をこれまたアップサイクルをテーマに展開する予定だ。